(新)風邪だと思ったんですが。悪性リンパ腫闘病記

風邪だと思って病院に行って出された診断結果は『悪性リンパ腫』そこから始まった血液のがん、抗がん剤治療、副作用、不安な日々との闘い。 そんな私とその家族の日々を書き綴ります。

久しぶりの笑顔。抗がん剤治療 2クール目 その⑥

誰にも会いたくない。支えてくれている家族にも。そう伝えた数日後に来た久しぶりの友からの連絡。私は戸惑いながらも会う事にした。こんな姿を見たらどんな顔をするだろう。悲しい思いはさせたくないし、自分が哀れな姿も見せたくないな。そんな気持ちで迎えた朝だった。

 

突然舞い込んだメールによって私はほとんど寝付けずに朝を迎えた。

今回のブログはシリーズものです。まだ読んでない方はこちら↓

 

 

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その日は、朝からそわそわしていた。

女の子がデート前に感じる思いとはこういうことかもしれない。

 

期待と不安。そして、少しばかりの恥じらい。

 

昨日までは締め切っていたカーテンも今朝は開けていた。朝のバイタルチェックに来た看護師が言う。

『おはようございます。今日は珍しく明るいですね。』

私は『たまにはね』と無愛想に答えた。自分が何か恥ずかしくなった。

もしかして私はウキウキしているんじゃないのか?!友達に会う事に?!そんなことを考えながらも、あっという間にその時は来た。友人からの着信である。

『今駐車場についたけどどこに行けばいい?!』いつものアイツの声。

私は自分の病棟名と階数を教えた。恥ずかしさが増す。まるで夏休み明けのような感覚。

 

友人を病室で待っていると(コンコン!)とドアをノックする音が聞こえた。

『どうぞ~』私が言う。

『久しぶり~。よっ!』と友人の彼はいつもの屈託のない笑顔で手を挙げながら部屋に入ってきた。いつもの彼だ。

『どうなの~』彼が大物司会者の様にきいてくる。

『少し前までは大変だったけど今は何とかね。』体調的にはそんな事無いのだけど友人に気を遣わせるのも嫌なので少し気丈にふるまった。

『そうかそうか、それは良かった。安心したよ。思ったより元気そうだし。』

彼はそう言うとお見舞いの品を差し出した。

『ありがとう。わざわざ申し訳ないね。』私は今まで彼に言ったことのない言葉でお礼を述べた。

『後これも。』そういったっ彼の手のひらにはお年玉のポチ袋が置かれていた。

この時はまだ正月明けて間もない時だった

 

『〇〇ちゃんに。久しく会ってないけど。』私にじゃないのか←当たり前。と慌てて受け取る。

『ありがとう。タイミングが良かったね(笑)』

『本当だよ(笑)』二人で顔を見合わせながら笑った。

『なんか飲む?!』私が訊くと『外に出れないの?!』と彼が訊いてきた。

入院して2か月。私はほとんど病室から出たことなかった。

『出ようか。』私はいい機会だと思い彼と談話室へ向かった。

 

二人で面と向き合いコーヒーを飲んだ。古くからの友人とはいえ、こうやって面と向かってコーヒーを飲んだことあっただろうか。そう思いながら、色々な事を話した。

 

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私の病気の事、病状、副作用、入院生活、夫婦の事、子供の事、仕事の事、そして、これからの事。

 

私が一方的に話すのをうんうんと黙って彼は聞いてくれた。私も調子に乗って喋り、あっという間に時間は過ぎていった。

 

『安心したよ。それだけ喋れれば大丈夫。』

 

彼は満面の笑顔で満足そうに言ってくれた。この大丈夫という言葉になんの医学的な根拠もないが、今思えば私はすごく救われた気がした。

 

『最初、悪性リンパ腫で入院してるって聞いたとき正直会おうかどうか悩んだよ。お前が弱っているところも見たくないし、お前もそんな姿見せたくないだろうし。でも、お前は頑張っているだろうから。応援しないといけないなって思ってここに来たんだ。』私はこの時に初めて彼の涙を見た。

 

『ありがとう。』私は声にならずに嗚咽混じりな礼を言った。

 

『辛いよな。でも、頑張れよ。俺たちがついている。俺が知っているお前なら絶対大丈夫だから。』彼はそう言いながら私の手を握ってくれた。

私が高校を卒業して、県外に行くときも彼は餞別をくれて私の手を握ってこう言ってくれた。

 

『頑張れよ。』この時と同じ言葉で。

 

あの時と同じ、私とは違うごっつい手。男らしく、日焼けしたその肌。やせ細って、白い私の病弱な肌とは違って生命力がみなぎっているようだ。

 

この握手にまたしても、私は力と勇気と仲間という掛けがえのないものに気づかされた。この後、残った2本の空き缶を彼は受け取って帰って行った。

 

『また来るから頑張れよ。今度は何人か連れて来るよ!』そう言いながら、笑顔で手を振りながら彼とエレベーターの扉で別れを告げた。

 

一人残されたエレベーターの前で、私は一人たたずんでいた。口を真一文字にして、彼が強く握ってくれた、か細い掌を見ながら。

 

『頑張らんとな。』そう言って掌をぎゅっと握りしめた。

 

彼からどれほどの勇気と力をもらっただろうか。どんなに離れてていても、しばらく会わなくてもいつもの調子、いつもの笑顔で接してくれる彼。ありがたい。本当にありがたかった。

 

久しぶりに会いに来てくれた友人に闘う力をもらい、この後の闘いに向かえる勇気をもらった私。頑張れ!大丈夫!という言葉もありがたいけど。この時はお前は頑張っている。辛いよなって黙って話を聞いてくれたことで救われた気がしました。

 

 

最後まで読んでいただきありがとうございました。感謝いたします。