2クール目が終わって家に戻って来て3日目。
この日は我が家にとって特別な日。子供の誕生日。去年の今頃は私たちの家族が崩壊しそうになっていた。今年は私が入院中。つくづく気持ちよく祝えない日になってしまった。
その日は朝から私の実家へ向かった。
今回のブログはシリーズものになります。まだお読みじゃない方はこちらから↓
実家の家族とも久しぶりに会った。
年明けから実家にいる家族は私のせいなのか寒さからか分からないが、みんなが体調を崩していた。インフルエンザだったり、胃痛だったり、夜眠れなくなったり。
少しだけ申し訳なくなる。そうした理由から家族は見舞いに来なくなったし私も感染症や気を使うのも使われるのも嫌だったので会わなくなっていた。
でも、久しぶりに会うと色々と聞かれる。聞かれる。矢継ぎ早に質問が飛んでくる。
そのほとんどが私の病状についてだけど、私が詳しく説明すればするほど家族の顔は曇っていった。
『そんなに深刻な顔しなくてもいいよ。』
と私が言うと、家族は少しだけほっとしたような表情をした。この時にあらためて、この病気と闘っているのは自分だけなんじゃないんだなと思った。
『悪性リンパ腫』と告知されて最初の1か月くらいは塞ぎ込み、周りを見る余裕がなく私の行動にも言葉にも無気力かつ攻撃的な事があったと思う。
時には強い言葉で噛みついたこともあるかもしれない。
そんな私を時には励まし、時には叱責し、今はこうして、ごく普通に向かい入れてくれている。ありがたい。本当にありがたい。
私と父との会話も増した。私の子供と私と父との会話も増えた。子供と私の父との最近の話の流行りは私が子供の頃、どういう子供だったかを話すことらしい。夕方、二人で犬の散歩に行くたびにその話で盛り上がるらしい。
家族の結びつきとしては去年の地震と私の病気が接着剤的なものになっているのかもしれない。夜になると姉たちが宴の準備をしてくれた。私の2クール目終了の慰労と子供の誕生日の為だ。
子供の誕生日のケーキをみんなで囲みハッピーバースデーの歌を歌った。
その歌が終わり、照れながら子供がお願いをしてろうそくの火を吹き消す。
その消えた煙が漂う中、子供がこう言った。
『何とお願いしたでしょうか?』
口々に答えたが不正解。
『パパが早く元気になりますように。』この時の光景を撮影していた私は思わず手が震え泣いてしまった。年に一回にの誕生日のお願いに私の健康を願ってくれた。
寂しい思いさせてんだなとも思ったし、必ず元気になってやるとも思えた。
楽しい宴はあっという間に終わり、みんなそれぞれ好きな事をやっている。
私は一人で風呂に入ったがその時に愕然としてしまった。抗がん剤治療の副作用である
脱毛がこの日を境に顕著になってしまったからだ。髪を洗う時、流すときに唖然とするほど抜ける髪の毛の束。抗がん剤治療が始まって2か月。2クール目。
ついにこの髪の毛とのお別れがやってきた。私はごっそりと手にまとわりつく髪の毛が私自身の悪性細胞のように感じ、すごい嫌悪感と虚無感を覚えた。
『さようなら。ありがとう。』そう言って、髪の毛に別れを告げた。
↓その日から抜け毛が顕著になりました。
その時の画像です。心を痛める方もいらっしゃると思うのでリンクにしました。
前頭部及び頭頂部
後頭部
側頭部
『悪性リンパ腫』との闘病生活。子供の誕生日と言うこの日でさえ、その事を忘れることを許されない現実。
抜けた髪の毛を粘着シートで掃除をする時、お風呂に入っている時、朝起きて枕を見たとき。そして、食事の後に飲まないといけない多量の薬品。
これがいつしか当たり前になる日が来るかもしれない。でも、この時の私にはあまりにも辛い辛い日々のだった。
『悪性リンパ腫』と闘うと決めた。でもそれは、今の自分の状況を全て飲み込むという事。この頃から私は日々顕著になる副作用とも将来の不安とも闘えるように色んな事を始めることにした。
風邪だと思ったんですが、、、。『悪性リンパ腫闘病記』というこのblogと
@olangelamp8と言うアカウントでtwitterを始めた。
誰かに今の自分を見て欲しい。誰かに自分と言う人間を感じて欲しい。いつか子供にこの私の姿を見て欲しい。今は家族はこの事を知らない。でも、そこで知り合った多くの方たちが私の存在を知ってくれていて、感じていてくれている。
ありがとうございます。
子供の為に何か残せればと思い始めたことが自分の為の備忘録、そして、多くのSNS上で知り合った方々との懸け橋になっている。
ありがたい。
どんな薬よりも、医療方法よりも私の心と体を支えてくれている。
ありがたい。
私はお節介な人間で時には人を不愉快にしてしまう事もある。私は強い人間ではない。
でも、twitter、このblogを通して得た多くの仲間や多くの闘病、入院生活を強いられている仲間と共にこれからも生きていきたいと思う。
私は闘えます。
自分の為に。自分を知ってくれる人たちの応援の力で。
ありがとうございます。
これからもよろしくお願いいたします。
orangelamp.