(新)風邪だと思ったんですが。悪性リンパ腫闘病記

風邪だと思って病院に行って出された診断結果は『悪性リンパ腫』そこから始まった血液のがん、抗がん剤治療、副作用、不安な日々との闘い。 そんな私とその家族の日々を書き綴ります。

抗がん剤治療6クール目 その②

『悪性リンパ腫』の抗がん剤治療も6クール目を迎えた。入院生活も、かれこれ8か月になる。家族はこの生活に慣れたのだろうか?私は慣れたのだろうか?

 

まさか、ここまでかかるとは思わなかった。

 

2016年の11月に(あれ?!熱っぽいぞ?!風邪かな?!)って、病院に行ってからあれよあれよという間に事は大事になって

 

『あなたは悪性リンパ腫です。血液のがんです。』

 

と医師から告知を受けたのが年末の12月。抗がん剤治療が始まったのが2017年の1月4日。それから5か月。もうすぐ6月になるので治療が終わるのは7月になるかもしれない。

 

私は何のためにここに居るのだろう?!

 

治療の為。家族の為。自分の為。

 

頭の中でのこのやり取りも、もう何百回もやった事だろう。

 

それでも未だに答えは出ない。

 

今まで生きて来てから40数年間。自分の性格が嫌で、生き方が嫌で、死にたいと思ったことが何度もあった。でも、死ななかった。正確に言えば死ね無かった。

 

そんな勇気が自分に無いことくらいは分かっている。もう駄目だ。もう死ぬ。と自分に言い聞かせれば楽になるのかもしれない。そう言っていれば誰かが助けてくれるのかもしれない。

 

そう思っていたかっただけなのかもしれない。

 

もちろん、こんなことは誰にも話したことなど無いし、これからも話すこともないだろう。

 

でも、今、死にたいかと訊かれれば

 

『死ねない。』

 

こんな事になって死ぬわけにはいかないと思う。2016年の年末、私は確実に死線を彷徨っていたのだと思う。幻覚なんか見たこともなかったけれど、この時初めて見たし、体中のリンパ節は大きくゴルフボールのごとく腫れあがり、あちこちがキシキシと痛んだ。

 

『あぁ。私はここで死ぬんだ。』と本気で思った。

 

よく一度、死線を彷徨った人は、その後の人生観が変わると話を聞いたけれど、確かにそうだと思った。

 

あれから、この日まで7か月。医師の話では治療順調らしい。歩くことは出来ているし、高熱にうなされる事も無くなった。

 

私はいきたい。

 

だから、私は何かを残したいと思った。家族に子供に何かを残したいと思った。何が残せるのだろう。何を残したいのだろう。そう考えた。何度もここで。

 

答えは漠然としていて、はっきりとした答えは出せていない。

 

『パパ今度はいつ帰ってくるの?』

 

病院の談話室でしか会う事が許されない娘は、その限られた時間に逢う度に私にそう訊いてくる。

 

『分からない。』と私が答える。

 

『なんで?』娘がまた、訊いてくる。

 

『先生が帰って良いって言わないと帰れないんだよ。』私が答えると、『じゃあ、先生が良いって言わなかったらパパはずっと帰ってこないの?』娘が心配そうな表情で言う。

 

『ずっと、帰ったらダメとは言わないとは思わないけど、分からないな。』と私は申し訳なく答える。

 

『・・・。』娘は、うつむき押し黙ったまま何も言わなくなる。

 

申し訳ない。

 

このやり取りを入院以来何回やっただろうか。娘には何の罪もない。私がこんな病気になったせいで私たち家族は離れ離れに暮らすことを余儀なくされている。

 

病院に居る私の携帯電話に度々娘から電話やメールで娘からメッセージが来る。

『一緒にご飯を食べたい。』『一緒にお風呂に入りたい。』『一緒にお風呂に入りたい。』どれも、病院に居る私には叶えてあげる事が出来ない事ばかり。

 

申し訳ない。

 

誰が悪い訳でもないのだけれど、申し訳ない気持ちでいっぱいになる。今いる病室にも私と同じような状況の人は沢山いる。

 

でも、みんな家族の話はしない。

 

私も自分から家族の話をすることはしない。

 

話すと寂しくなるし、話すと悲しくなる。

 

入院生活は7か月を過ぎた。日々、変化して私の体に現れる副作用にも慣れないけれど、家族と離れて暮らすのにも慣れたくはない。

 

慣れたと思っていたのだけど、慣れたのではなくて寂しくないように強がって、我慢しているだけなんだろうな。

 

早く帰りたいよな。ここにいる人みんなそうだ。

 

この日も隣のベッドからカーテン越しにすすり泣く声が聞こえて来た。大人が泣いているのだ。昼間は大丈夫、大丈夫と見舞客と話していた患者がすすり泣いている。

 

私も泣いた。いっぱい泣いた。

 

家族のもとに、自分の元に帰りたい。

f:id:orangelamp8:20170719121940p:plain

抗がん剤治療も残り僅かになったのだけれど慣れない。やっぱり慣れないのだ。

 

最後まで読んでいただいてありがとうございました。感謝いたします。