(新)風邪だと思ったんですが。悪性リンパ腫闘病記

風邪だと思って病院に行って出された診断結果は『悪性リンパ腫』そこから始まった血液のがん、抗がん剤治療、副作用、不安な日々との闘い。 そんな私とその家族の日々を書き綴ります。

患者仲間との久しぶりの再開。

『悪性リンパ腫』の入院生活が終わって1か月が過ぎたこの日。私は一つの約束を果たすことが出来た。その約束とは・・・。

 

一人じゃなかったから頑張れた。

 

 この日の夕方、私は、ある人と待ち合わせをしていた。その人とは同じ血液内科病棟に入院していた患者仲間である。以前、このブログにも登場した25歳の男性の患者仲間。

 

⇩その患者仲間とはこんな人です。よろしければどうぞ。

病気は違えども、辛い治療、入院生活を数か月もの間一緒に過ごした私と彼。

 

入院中に彼から

 

『二人とも退院して動けるようになったら、おいしい焼き肉屋があるので行きましょう』

 

と言われていた。彼がそう言っていた時には、二人とも経ち長は悪くて、そんな話は夢の様な話だったのだけれど、ようやく、この日に実現することが出来た。

 

私たち二人は、あの隔離された空間から抜け出すことが出来て、普通に外食をすることが出来るようになった。これは、ひとつの奇跡かもしれない。数か月前までは、二人とも辛い抗がん剤の治療によって、体中の毛は抜け落ち、食欲も無くなり、病室のベッドから動くことも出来なくなっていたからだ。

 

彼は強い抗がん剤によって抵抗力が落ちて、感染症予防の為に無菌室に隔離される事さえあった。

 

あれから、数か月が経ち、私たちは病院の外で初めて会う事になった。約束の待ち合わせ場所に行くと彼が私の家の近所まで車で迎えに来てくれていた。

 

数か月ぶりに会う彼は、入院中に比べて見た目も大きく変わった。ひと回りも、ふた回りも体は大きくなって、髪の毛もふさふさに生えていて、肌の血色も健康そのものと言う感じだった。

 

私たちは、病気に勝ったのかな。

 

と思った。久しぶりの再開で最初は、お互い少し照れがあったけれど、目的地の焼肉店に向かう間に、その数か月の空白も埋める事が出来たようだった。

 

彼が向かった焼き肉店は、あの熊本大地震の震源地にあった。全国ネットのテレビ局が連日伝えていた場所『熊本県上益城郡益城町』熊本市内の中心部から西へ数キロ走った場所にある。

 

あの地震から1年4か月。

 

この街は私が知っている街ではなくなっていた。道路沿いに並んでいた建物は地震によって倒壊してしまい、今では所々更地になっていた。

 

あの地震以降、多くの人がこの地を去ったという。

 

私は助手席の窓から見える見たこともない閑散とした街並みを眺めながら『闘い』というものはいつ始まるのかも、いつ終わるのかも分からないものだと思った。

 

病気、天災、事故・・・。

 

人間の生活なんて簡単に形を変えて、その身に降りかかり、多くの人々を巻き込みながら進んでいく。多くの悲しみ、多くの犠牲。労力、費用、時間。

 

色々なものとの闘い。

 

そして、それは今も続いている。

 

そう思った。

 

だからこそ、私はこの日を迎えられたことを嬉しく思おうとした。

 

彼が運転する車が焼き肉店の駐車場に着いた。焼き肉店の名前は『兵六玉』けっこう有名な焼き肉店らしい。地理的に私の家から離れているので私は食べに来たことはなかった。

⇩ブログ掲載の許可は頂きました。

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店内に入り、注文を済ませると私たちの宴は飲めや喰えやで盛り上がった。

食事をしながら、お互いの近況報告や恋バナ、ゲームの話、幼い頃の話など、とても約20歳ほど年が離れているとは言えないほど二人は盛り上がった。傍から見れば、親子に見えるかもしれない。そんな二人がはしゃいでいた。

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次々に運ばれてくる料理を次々に平らげてあっという間に満腹になった。

『悪性リンパ腫』と言う病気になってからというもの、こんなに気兼ねなく食事が出来たのは初めてだった様な気がする。

 

同じような病気だった仲間だからこそ、お互いに気兼ねなく食べて飲んで喋って笑える。こんな仲間がいたからこそ私は辛い闘病生活も抗がん剤治療も乗り越える事が出来たのだと改めて思った。

 

お互いに喋りたい事をしゃべって食べたいものを食べて飲みたいものを飲んだので、この後、場所を変えて、ビリヤードに興じたり、卓球勝負をしたりして遊んだ。

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久しぶりの再会。

 

久しぶりの笑い声。

 

久しぶりに気持ちよく流した汗。

 

頑張って良かった。

 

私たちは生きている。

 

そう思った。

 

次は釣りに行こう。

 

次はキャンプに行こう。

 

そう話し合って、この日は別れた。

 

家に帰り、シャワーを浴びて布団に入る。今日はとても充実した一日だった。入院中は笑う事も少なかったし、遊ぶ約束なんて出来なかった。1か月後に生きている保証さえなかった。

 

辛く先が見えなかった入院生活の中で、彼の様な患者仲間と多くの事を話し一緒に過ごし、一緒に喜び、時には一緒に涙もした。

 

全ての仲間がこの日のような喜びを味わえる訳じゃない。私たちの病気はそんな病気だった。

 

絶対大丈夫。絶対治る。絶対元気になる。

 

そんな言葉に何の説得力も感じない病気達。

 

『がん』『悪性リンパ腫』『白血病』

 

私たちが闘っている病気はテレビの中で行われている様なお涙頂戴ものの感動の押し売りなんかじゃない。

 

勇気をもらった。力をもらった。感動した。

 

そんな言葉が誰でも持てるとは限らない。

 

奇跡。

 

寛解。

 

治癒。

 

そんな簡単な話じゃない。

 

私もこの病気になるまでは、感動というものに、ひとつの喜びと言うか人間らしさの様な感覚を持っていたのかもしれない。

 

でも、今は違う。

 

この日、患者仲間の彼と再会して約束を果たせたことで私は感動した。

 

喜びもあった。

 

でも、今の自分に何が出来るのだろうかと言う強い使命感は益々強いものとなった。

 

今の自分に出来る事。

 

もう一つのブログのmake the style. オレンジランプのブログのテーマでもある事。

 

同じ苦しみ、同じように闘っている人たちに私が何か出来ることはないのか。

 

そう、強く思った。

 

『今日はありがとうございました。とても楽しかったです。また、誘ってくださいね。』

 

別れた後に、親と子ほどに年が離れた彼から貰ったLINEの文章に私は勇気をもらった。

 

今の私に何が出来るだろうか。

 

もっと出来る。

 

もっとやれる。

 

もっと頑張らなければ。

 

もっと、もっと、もっと。

 

私は生きている。

 

そう、私は生きているんだ。

 

こんなにも強く思った事はいつぶりだろうか。

 

闘いの日々は終わらない。まだまだ、これからだ。

 

そう強く思った夜でした。

 

最後まで読んでいただいてありがとうございました。感謝いたします。